「政策立案にも効く”武者修行”?」経済産業省がベンチャーへのレンタル移籍で目指す個人と組織の変化【経済産業省・人事担当者の声】
経済産業省では2018年から、ベンチャー企業への「レンタル移籍」を導入しています。公的機関としていち早くこの仕組みを取り入れた背景には、職員のスキルアップと視野拡大を促し、組織全体の活性化につなげるという狙いがあります。
ベンチャー企業の方々と肩を並べて働く「武者修行」の機会を設けることで、組織に多様な経験や視点を取り込み、変化の激しい社会の中でよりスピーディーに政策を打ち出していく――。制度導入の背景や狙いについて、人事担当者に伺いました。
■活用サマリ
・導入プログラム:レンタル移籍
・目的 :職員の視野拡大・スキル向上/政策立案力の強化/組織の活性化
・対象 :若手〜中堅職員
・選出方法 :公募制(本人の立候補+所属部署との人事調整)
■ 導入背景
・急速に変化する社会環境に対応するため、政策立案に多様な視点や経験を取り入れる必要があった。もともと「今までやっていないことも取り入れてみよう」という文化があり、制度導入もスムーズに進んだ
・多くの職員が2〜3年ごとに部署を異動しながら新しい政策分野に挑戦していくが、ベンチャー企業の方々と肩を並べて仕事をする「武者修行」の機会は、省内とはまったく異なる経験ができる「挑戦の選択肢」の一つとしてマッチしている
・越境経験を持つ職員を増やすことで、組織内に多様性を広げ、よりスピーディーな政策立案につなげていくことを目指した
■ 導入の決め手・継続理由
・ベンチャー企業の現場で事業づくりに携われる実践的な経験が得られる
・官公庁とは異なるビジネス感覚やスピード感、意思決定プロセスを体感できる
・職員が自分のスキルや強みを客観的に認識できる機会になる
■ 制度設計・運用上の工夫
・年間を通じて募集を行い、立候補者の所属部署での業務状況や人事調整のタイミングを踏まえて派遣を決定
・異動希望を提出する秋のタイミングで制度を周知し、自身のキャリアパスを考える時期に新たな挑戦の選択肢として提示
・移籍者の体験談や学びを省内に共有し、越境経験の価値を広げている

関根さん(写真左)と石川さん(写真右)
■ 担当者コメント
◎関根友里さん(取材当時、秘書課 ※2025年7月からこども家庭庁に出向中)
官公庁は、これまで積み上げてきた経験やスキルが見えづらい組織だと感じています。ベンチャー企業という未知の環境に身を置くことで、その経験やスキルを相対的に見ることができるようです。実際にレンタル移籍した職員からは、「官公庁で培われた調整力やプロジェクトマネジメント力の価値に気づいた」という声も聞きました。
すべての職員が移籍できるわけではありませんが、経験者が持ち帰ってくる声を省内に届けることが大切だと感じています。
◎ 石川なな子さん(秘書課人材育成班長)
官公庁とは仕事もカラーも異なるベンチャーで武者修行することによって、自分でも気づいていない強みやスキルを認識できることに、ハッとさせられました。
ベンチャーならではの当たって砕けろ精神やビジネス的な考え方などを学ぶことも大切で、これまでの業務で培われていた潜在的なスキルと新たなマインドセットの両方を認識できるレンタル移籍は、非常に面白い取り組みだと感じています。
<関連情報>
▼ 詳細のインタビュー記事もぜひご覧ください
