「創造力と実践力を磨く”越境”施策」~看板も後ろ盾もない環境で育つ力~【京セラ・人事担当者の声】
ファインセラミックス、半導体部品、通信、エネルギーなど多彩な事業を展開する京セラ株式会社。同社では2019年より、ローンディールの「レンタル移籍」を活用した人材育成施策を開始。導入から数年を経て、複数の担当者へとバトンがつながれながら、制度の深化に向けた見直しと改善が続いています。現在の担当者である小林実央さんに、これまでの歩みと今後の展望を伺いました。
■活用サマリ
・導入プログラム:レンタル移籍
・目的 :価値創造や事業開発の経験を通じて「創造力」や「実践力」を身に付け、帰任後、京セラへ還元できる人材の育成
・対象 :入社5年目以上の正社員
・選出方法 :公募制(本人の立候補+書類選考および役員面接/指名制との併用も検討中)
■ 導入背景
・「他社の同世代と比べて自分は成長できているのか」という入社3年目の若手人事社員の課題意識が、導入検討のきっかけ
・ビジネス環境が大きく変化する中でイノベーションを生み出せる人材が必要だという課題意識と、ベンチャー企業で得られる経験が合致し、2019年より指名制でトライアルを導入
・看板や後ろ盾のないベンチャー環境に身を置くことで、「創造力」や「実践力」を実務を通じて獲得できる点に着目し、2023年より公募制で本格導入(社内呼称:「X-Border Program」)
■ 導入の決め手・継続理由
・ベンチャー企業において、経営に近い距離で価値創造や事業開発に関わることで、「創造力」や「実践力」を実務を通じて磨ける点
・リソースが限られ、不確実性の高い環境下で、スピード感を持って事業に向き合う緊張感は、グループ会社への派遣などでは得られない質の経験である点
・経験者から「研修と呼ばないでほしい」という声が上がるほど、社内研修とは質の異なるリアルな実務経験として機能している点
■ 制度設計・運用上の工夫
・公募制を採用し、書類選考および役員面接を通じて候補者を決定(指名制との組み合わせも検討中)
・「創造力」「実践力」の獲得という目的を踏まえ、本人の目的や行き先・経験内容について、関係部署・人事と事前にすり合わせるプロセスを整備中
・帰任後の経験者が社内で発信・共有しやすい環境を整え、次の挑戦者への後押しにもなる仕組みを作ることを目指している

■ 担当者コメント
◎ 小林実央さん(総務人事本部 人事企画部 事業支援部 企画課 兼 コーポレート企画部 企画課)
担当を引き継ぎ、経験者たちと関わる中で、この制度が持つ可能性を強く実感しています。帰任後に新たな部署へ抜擢されたり、能動的に顧客開拓へ動く姿を見て、上司から「変わった」と聞くこともあり、越境で得た経験が確実に生かされていると感じる場面が増え、手応えを感じています。
だからこそ、報告会などを通じて経験者の変化を社内に伝えていくことも、事務局としての大事な役割だと考えていますし、経験者本人にも積極的に発信してほしい。成長機会としての認知を、社内でもっと高めていきたいと思っています。
一方で、個人の成長をどう京セラに還元していくかという点には、まだ改善の余地があります。これまでは本人の意思を尊重してきましたが、今後は「どんな経験をしてきてほしいのか」「どんな力を身につけて戻ってきてほしいのか」を、会社としてもより明確にしていく必要があると感じています。
ただ、人によって強みや成長の仕方は異なります。共通の目的を持ちながらも、それぞれの個性を生かした成長につなげていく——そのバランスをどう設計するかが、今まさに向き合っているテーマです。
最終的には、このプログラムを単なる越境経験にとどめず、「この人にこうなってほしい」という育成プロセスの一つとして活用されるものにしていきたいと考えています。他社では若手育成施策の一環としてベンチャー派遣が組み込まれているケースもあり、京セラでも人材育成の全体像の中にレンタル移籍を位置づけ、組織として送り出し、組織として受け入れる——そんな仕組みを実現していきたいと思っています。
<関連情報>
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