【4名の思考プロセスを大公開!】大企業人材の思考力を高める、週1回・90分の他流試合「outsight」
「outsight」は、大企業人材がスタートアップ・地域企業の経営課題に向き合う実践型の越境プログラムです。
2週間ごとにベンチャー企業から提示される「お題(事業課題)」に対し、参加者は解決策を議論し、提案まで行います。ベンチャー経営者・ファシリテーター・他社の参加者との他流試合を経験しながら、「高度な思考力」を身につけることができるプログラムで、これまでに75社(※2026年1月時点)が参加しています。
半年に一度、過去の参加者が集うリアル&オンラインイベント「オフサイト」も実施。その中では、優秀な解決策を提案した方々が「思考プロセス」を共有する時間もあり、各々が自身の思考プロセスをアップデートする機会や新たな他流試合の場になっています。
今回は、2026年3月の「オフサイト」を振り返り、優秀者が思考力を高めた方法や「outsight」の効果について解説していきます。
「週1回の他流試合」を大企業人材の越境のきっかけに
「outsight」では、週1回・90分のオンラインプログラムを実施しています。参加しやすいコンパクトな構成にしている理由は、忙しい大企業人材が越境の第一歩を踏み出すきっかけにしてほしいと考えているからです。
「半年~1年、現場を離れて越境しましょう」という提案を受けたとしても、現業の忙しさや立場を考えると実践しにくい方も多いかもしれません。その一方で、「社内の業務に集中する時間が増えたことで、外部の情報やネットワークをキャッチする機会が減った」「思考を深める時間や従来のやり方をアップデートする機会が持てていない」という課題を感じている人は多いはずです。
「outsight」でベンチャー企業が抱える課題に対する解決策を検討することで、発想力を鍛えるだけでなく、正解のない時代に必要な思考力も高めることができます。他社の参加者と議論したりベンチャー経営者からのフィードバックをもらったりする他流試合によって、異なる考えや視点に気づき、自身の思考プロセスが整理・アップデートされるという側面もあります。
このような経験を週1回から無理なく始めることで、自らの変化や成長を実感しやすくなり、「日常的に越境する」入り口になり得ます。
「検討を重ねることで自分なりの思考の型が見えた」。優秀者の個性豊かな思考プロセス
実際に「outsight」に参加した方々は、どのような思考プロセスで解決策を導き出したのでしょうか。そして、「outsight」に参加し、どのような変化を実感しているのでしょうか。
今回の「オフサイト」では、2025年7月〜12月の参加者の中から、ベンチャー企業が特に優秀と評価した解決策を提案した4人に「outsight」に参加した理由と思考プロセス、参加したことによる変化について話していただきました。その一部を抜粋してご紹介します。
● CASE1:株式会社NTTドコモ九州支社・川原朗子さん
一人目は、株式会社NTTドコモ九州支社の川原朗子さん。長年社内向けの業務に携わってきたため、社外との接点が少なく、自身の思考や発想に自信が持てなかったそう。また、社内の常識や業界のルールに固定化されていることに焦りや不安を感じ、参加を決めました。
川原さんは解決策を検討する際、「まずはAIを使わず、自分で考えることを心掛けた」といいます。


「最初からAIを使うと思考が引っ張られてしまうところがあるので、まずは自分で考えて、“ワクワク”をキーワードに『あったらいいな』『やってみたいな』と思うことを見つけていきました。そこから『倫理に反していないか』『自分だけが得していないか』『社会的な意義があるか』といったことを検討したうえで、解決策となる製品やサービスの収益性、継続性、市場の可能性をAIと壁打ちして精査するというステップで進めました。いいと感じたアイデアも、本当に効果的なのか、とギリギリまで粘って検証することが多かったです」と話してくれました。
また、議論中やその前後にベンチャー経営者やファシリテーターの話を聞く中で、自身の思考のクセに気づき、回を重ねるごとに改善につながったそう。「他の参加者の方々のアイデアや自分にはなかった発想に触れて、視野が広がり、現在の業務にも柔軟性が出てきたように感じています」とのこと。
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● CASE2:小野薬品工業株式会社・東敬宏さん
二人目の東敬宏さんは、30年間小野薬品工業株式会社で働いてきた功労者です。しかし、他社や他業界での経験がなく、新たな視点や発想を得るため、参加しました。また、社内の新規事業提案コンテストへの応募を考えており、ベンチャー企業の柔軟な発想を学びたいという思いもあったそうです。
東さんは、一人目の川原さんとは真逆で、AIに「極端なアイデアを出してほしい」と聞くところから始めたといいます。

「AIが突き抜けたアイデアを出してくれるまでラリーを繰り返し、出てきたものの中から楽しそうだと思えるものをピックアップして、二軸思考や水平思考を用いて解決策になりそうか検討しました。この際の自分の中での評価軸は『遊び心があるか』『社会的意義があるか』『仕組み化できるか』『読みやすい提案か』の4点です。
検討したアイデアをAIに投げて『批判的に検証して』『反対意見を述べて』という指示を出し、懸念点などを明確にしたうえで深掘りします。最終的に提案者である私の体温が伝わる表現や相手の関心を引きつける表現にブラッシュアップし、提案していました」とのこと。ご本人としては、AIとの対話を通じて思考の盲点をあぶりだすことで自身の勝ち筋を見出すことに7割、そこに自分の経験や想いを乗せてアイデアに魂を吹き込む作業に3割の比重で取り組んでいたといいます。
「outsight」を経験し、「最初から完璧を目指さず、もっとアバウトでいい」と気づいたそう。「以前から考えていた新規事業提案コンテストにも、勇気を出して応募できました。残念ながら最終選考には残れなかったのですが、参加したことが進歩だと感じています」。
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● CASE3:大鵬薬品工業株式会社・刈谷眞大さん
三人目は、大鵬薬品工業株式会社の刈谷眞大さん。参加当時、社長室に所属していた刈谷さんは、社長に採用してもらえる提案ができるよう、課題解決力やアイデア創出力を高める必要性があると感じていたそう。また、他社の経営者の思考や視点にも触れたかったといいます。
解決策を検討する際、刈谷さんがまず行っていたのは「背景や本質の理解」。お題を提示するベンチャー経営者の考え方や大切にしていることをChatGPTで調べてまとめ、思考の傾向や人となりを把握してから、解決策を考えていきます。

「背景を理解したら、Perplexityで課題や解決策に関する情報を調べます。その情報をもとにChatGPTと壁打ちして、ある程度解決策を固めていった時点で、もう一度白紙の状態から壁打ちをし直したり、『この回答によって私の人生が変わる』といった感情に訴えかけるようなプロンプトを打ち込んだりして、解決策のアイデアを検証していきました」と話してくれました。情報収集のときだけAIを使い分けたのは、「Perplexityは情報の確度が高く、情報収集を効率的に進められるから」とのこと。
「自身の課題としていた発想の幅の狭さを克服し、目的としていた課題解決力・アイデア創出力の向上につながったと感じています」と話す刈谷さん。限られた時間の中で要点を整理し、ある程度の質の情報をアウトプットできるところに近づけたという実感を得ているそうです。
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● CASE4:NTT株式会社・Sさん
最後に登壇したNTT株式会社のSさんは研究所勤務で、事業現場から距離があるため、日々の業務では獲得しにくいビジネス感覚や経営者支援を養いたいと思い、参加を決めました。「この経験を活かし、いずれはビジネスに直結する研究成果を出したい」という思いもあったそう。
Sさんが意識的に行ったのは、ChatGPTとのブレスト。「『2時間』というリミットを設けてブレストしてアイデアの叩き台を出し、それをベースに検討しました。2時間でChatGPTとのやり取りを36往復したこともあります」とのこと。

「解決策が評価していただけたときのアイデアの考え方を振り返ると、『ビジネスの本質的な課題の解決』と『お題』をうまく掛け合わせたアイデアだったと気づきました。例えば、ターゲット層の顧客が少ないサービスに関するお題が『サービスの効果を示したい』だったときに、あえてターゲットではない層で効果検証を行うことで顧客の幅を広げるアイデアを出したことで、評価していただきました」と経験を振り返ってくれました。
「outsight」を通じて、思考法は成果を左右する重要なスキルだと気づいたといいます。「自分なりの思考の型やアイデアの生み出し方が見えてきたので、所属しているチームにも意識的に共有・展開するようになってきました」と、自身の変化も感じているそうです。
高い思考力は「日々のマネジメント業務」にも活きる
他流試合を通じて身につけた自分なりの思考法は、発想の質を高めることはもちろん、マネジメント業務全般においても役立てることができます。
1. 質の高い意思決定の実現
思考力を高めることで、より精度の高い意思決定が可能となります。例えば、さまざまなアイデアや提案を受けた際、論理的かつ迅速に判断できるようになるため、リスクを最小限に抑えた最適な選択を行うことが期待できます。
2. 部下に対する的確な評価とフィードバック・指導の提供
思考力の向上により、部下や後輩の提案・意見に対して、適切に評価・フィードバックできるようになります。的確かつ明確な指示は、チーム力の強化にもつながります。また、自身が培った思考法を、部下やチームメンバーに建設的に伝えていくことで、メンバーの問題解決力や戦略的思考の向上、自律的な行動の促進にもつながります。
3. 組織全体のパフォーマンス向上
思考力の高いマネジメント層が率いると、組織全体のコミュニケーションが活発化し、効率的かつ円滑にプロジェクトを進行できる環境が整います。明確な指示による迅速な意思決定も可能になるため、業務の質が高まり、組織全体のパフォーマンスにもいい影響を与えるでしょう。
他流試合は日々の業務に活きる力を育て、組織の持続的成長にも直結するといえます。
「他流試合の日常化」が新たなネットワークや事業を生み出す
「outsight」では週1回のオンラインプログラムに加えて、半年に1回、優秀者の思考プロセスを共有する「オフサイト」を実施し、参加者の思考のアップデートを継続的にサポートしています。
今回も、参加者から「目の前の相手のことを知る大切さを学んだ」「社内にも他流試合のきっかけがあることがわかった」という声が届き、他者の発想や工夫から新たな気づきを得ていることが伝わってきました。
優秀者の発表を聞いたり感想をシェアしたりする「オフサイト」は、定期的に他流試合ができる場としても活用されています。他流試合はスポットで行うものではなく、日常化することが大切です。そのきっかけにしてもらいたい、という思いもあります。
「『outsight』を通じて他流試合の大切さを知った」という参加者の方々から、日々の業務においても「積極的に他社と連絡を取るようになった」「自分からアプローチして関係を築き始めた」という声もいただいています。また、「『outsight』での出会いをきっかけに、協業に向けたディスカッションに発展した」といった事例も増えてきています。
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ここまでご紹介してきたように、「outsight」では、思考力を高める機会と他流試合の場を提供しています。そして、このプログラムがさまざまな事業や協業のきっかけにもなっています。
ここでは紹介し切れなかった事例もあるので、まずはお気軽にお問い合わせください。
